【ゲーミングPC】安すぎるPCは要注意?マザボの違いでグラボの性能が下がる理由

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ゲーミングPCを選ぶ際、グラボ(GPU)やCPUのスペックばかりに目が行きがちです。しかし、「マザーボードの規格」を見落としていると、後になってグラボ本来の性能を引き出せずに後悔する可能性があります。

この記事では、エントリーからミドルクラスのPCでよく採用される「A620」と中堅の「B850」を例に、マザーボード選びがグラボの性能に与える影響を、事実とデータに基づいて解説します。

マザーボードの規格「PCIe」とは?

パソコンの内部構造を「物流システム」に例えると、それぞれのパーツの役割と「PCIe(ピーシーアイエクスプレス)」の重要性が分かります。

  • グラボ(GPU):ゲーム映像という製品を作る「超優秀な工場」
  • CPU:工場に指示を出す「本部」
  • PCIe(マザーボード):工場と本部を繋ぐ「道路」

この道路(PCIe)には「制限速度(世代)」と「車線数(レーン数)」が存在します。PCIe 3.0、4.0、5.0と世代の数字が大きくなるほど、制限速度が上がり、データを高速に運ぶことができます。グラボの性能が上がるほど運ぶ荷物が増えるため、この道路が広くて速くなければ、工場(グラボ)がフル稼働しても製品が届かず、ゲームの画面がカクつく原因になります。

格安マザボ(A620)で性能低下が起きるメカニズム

BTOメーカーの格安PCで頻繁に採用されている「A620」チップセットは、通信規格が一つ古い「PCIe 4.0」に制限されています。ここに最新のグラボ(RTX 5060 Ti 8GB版など)を組み合わせた場合、特定の条件下で以下のプロセスを経て性能が低下します。

  • VRAM(作業机)の枯渇:映像が美しく重い最新ゲームを最高画質で遊ぶと、グラボ内のVRAM(8GBなど)が大量に消費され、すぐに満杯になります。
  • メインメモリへのデータ退避:VRAMに乗り切らなくなったデータ(荷物)を、システムは一時的にメインメモリ(本部の倉庫)へ置きに行こうとします。
  • PCIe 4.0による通信渋滞:このデータ移動の際、工場と本部を繋ぐ道路(PCIe)を通りますが、規格が最新の5.0ではなく4.0に制限されているため、通信帯域が足りず大渋滞が発生します。
  • フレームレートの激減:結果としてデータの移動に時間がかかり、同じグラボを使用しているにもかかわらず、性能が10%から15%も出しきれない事態に陥ります。

プレイスタイルに合わせた合理的な選択基準

A620と、上位規格であるB850(PCIe 5.0対応)を搭載したBTOパソコンでは、約2万円の価格差(マザーボード単体で約1万5000円差)があります。用途に合わせて合理的に選択することが重要です。

  • A620(格安構成)で十分なケース
    • 対象:『Apex Legends』、『VALORANT』、『フォートナイト』などの比較的軽い対戦ゲームを中心に遊ぶ場合
    • 理由:VRAM(8GB)が満杯になる状況がほぼ発生しないため、PCIe 4.0環境下でも渋滞が起きず、性能に差が出ません。2万円安いA620構成でも全く問題なく快適に動作します。
  • B850(上位構成)を選ぶべきケース
    • 対象:最新の重量級ゲームを最高画質で快適にプレイしたい場合
    • 理由:データ転送の渋滞を防ぐため、道路が太い「B850」を選択するか、初めから作業机が広い「VRAM 16GB搭載のグラボ」を選択するのが正解となります。

スペック表は「チップセット」まで確認を

一部の格安メーカーのPCの中には、さらに一世代古い「PCIe 3.0」という旧道のマザーボードに、最新の5060クラスのグラボを組み合わせている極端なモデルも存在します。

グラボの名前と価格だけを見て購入すると、このようなボトルネックを抱えたPCを引いてしまう可能性があります。PCを購入する際は、必ずスペック表の「チップセット」や「マザーボード」の項目を確認するようにしてください。